研究紹介

行動モデルに基づく過信の抑止

人間と共生する情報環境の実現には未だ多くの課題がある。本プロジェクトで「過信」を取り上げた背景には、「人間と情報システムの相互理解が重要かつ未解決な課題であるとの認識がある。数理システムである情報システムには、人間の内的な状態のモデルなくして、人間の判断や行動を理解することは困難である。環境認知から運動物理に至るまで一貫した数理モデルで人間行動を記述し、人間行動の原理と多様性を正しくシステムに組み込むことが必要である。「過信」の研究は、映像・音声の認識やテキストの理解といったインタフェース技術だけでなく、それらの情報を射影する数理行動モデルの構築という行動理解の本質的課題を含んでいる

過信研究の重要性

「過信」状態は、人間の行動に内在する「認知・判断・運動」特性がシステムの期待と一致しない状態であり、その検出には「認知・判断・運動」に跨る行動モデルの構築が必要である。しかし「認知・判断・運動」を統一的視点で捉えた学術的枠組みはこれまで皆無であると言ってよい。これは、1)人間を含むシステムにおいて、「人間」、「システム」及び「両者を取り巻く環境」を大規模に観測記録した研究資源が十分蓄積されていないこと、2)「認知-判断系」(心理特性)の表現に適した数理体系と「判断-運動系」(身体特性)の表現に適した数理体系の相互理解が進んでいないことに起因している。本提案は、「過信」の研究を通じてこれらの問題を具体的に解決し、「認知・判断・運動」の統合的な数理モデルを提示するものである。

「過信」研究の学術的背景(複合数理モデルの展開)

 環境情報は映像や音響により連続量として認知され、判断は「離散量の選択」に対応付けられる。一方、判断の下での運動は制御を伴う身体物理を介して表出される。すなわち、「認知・判断系」と「判断・運動系」は、それぞれ連続/離散変換、離散/連続変換に対応付けられる連続系と離散系の複合システムである

  • 公開日時:2009年11月15日(日)21時54分
  • カテゴリー:概要