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第3回 過信シンポジウム

  5月16日,名大VBL 3Fにおいて,第3回Kashin-freeシンDSCF3533.JPGポジウムが開催されました.本シンポジウムはCREST Kashin-freeプロジェクトの推進と成果報告を兼ね,昨年度から開催しているもので,3回目の今回は,筑波大学の稲垣先生,警察庁生活安全局の長塚様による招待講演,およびプロジェクトメンバーによる成果報告が行われました.

  稲垣先生のご講演では,「運転支援システムへの過信と依存:その似て非なるもの」と題して,支援システムへの依存がすべて悪として捉えるのではなく,事故につながる過度の依存状態を明らかにすることの重要性が示され,その概念的な整理と運転支援システムを例にしたお話をいただきました.お話の中で,「DSCF3487.JPG信頼の次元」(システムの能力が過大評価する際の根拠)と,「観測の機会」(システムの実際の動作を見る機会のあり方)という2つの視点から,過度の依存が定義されており,本プロジェクトにおけるテーマである「過信抑止」を考えていく上で,貴重なお話をいただけたと思います.

  また,長塚様のご講演では,「振り込め詐欺の現状と予防対策」と題して,オレオレ詐欺に代表される振り込め詐欺について,加害者の手口,被害者の置かれる状況,そして,防止に向けて実際にどのような対策が行われているのかについて,事例DSCF3493.JPGを交えて紹介していただきました.その中で,オレオレ詐欺において,まさに振り込みが行われようとしている現場で,警察が確認の電話として取り次いだ「実の息子」に対して,親が「偽者」だと断定してしまう(その後,実際に本人(息子)に現場に来てもらいやっと納得)という事例が特に印象的でした.human - human interaction における過信状態の一つとして考えられるオレオレ詐欺ですが,加害者の言いなりになる状況においても,他者を疑うという機能自体が停止しているわけではない事実は,これらの現象をモデル化していく上で示唆的な内容だったと思います.
DSCF3546.JPG

  本シンポジウムには上記の講演および研究報告に80余名の参加者を迎えて,盛況の内に終了しました.

成果ビデオ作製進んでます

成果ビデオの作成を進めています。

 

春のブレスト大会(1日目)【河口信夫】

新年度が始まり、新人も来た、ということで、メンバー交流も兼ねてブレーンストーミング大会を行った。

今回は、「ブレインライティング」という形式で実施。

これは、ボードに付箋でアイディアを記入し、それをメンバー内で回す、というもの。詳細は、

http://css.jaist.ac.jp/jcs/gihou12.html

などを参考にしてもらえれば良いと思う。1日目は7名の参加で「行動の分類」について行った。

皆さん、それなりに楽しめたはず。私も大変良い刺激になった。ぜひ、感想を書きこんでいただきたい。ちなみに、本日4/8にも2日目を行います。

ちなみに、成果は、以下のような感じ。実施中の写真は武田先生が撮っていたはずなので、ぜひ、アップしてください。

1日目のブレインライティングの成果

国際会議 参加報告 [道満恵介]

6月21日~24日にカリフォルニア州立大学サンディエゴ校(USA)で開催された2010 IEEE Intelligent Vehicles Symposium(IV2010)で発表して参りました.
本会議における自身の研究発表は2件あり,21日のPh.D. Dissertation Forumで口頭発表,翌22日にポスター発表を行ないました.

Ph.D. Dissertation Forumでの発表タイトル:
   『Traffic Sign Detection and Recognition Toward Smart Driver Assistance』

ポスターセッションでの発表タイトル:
   『Estimation of Traffic Sign Visibility Toward Smart Driver Assistance』


Ph.D. Dissertation Forumは博士後期課程の学生を対象とした学生セッションで,本会議とは別に査読審査がありました.
発表者は,博士課程における研究のモチベーション,課題に対するアプローチ,期待する貢献に焦点を当てた発表を行い,当該分野における専門家達と今後の研究についてディスカッションを行なう時間が設けられています.
なお,参加者は様々な大学の博士学生計14名でした.
本セッションへの参加により,研究内容を対外的に宣伝できただけでなく,同年代の博士学生の研究テーマや研究状況等を身近に感じることができ,非常に貴重な体験をすることができました.

ポスターセッションにおける発表では,学生セッションでの発表内容よりもフォーカスを絞った内容になっており,より技術的なアプローチに関する議論を交わすことができました.
また,「前日の学生セッションを聞いて興味をもちました」と言って立ち寄ってくれた方が少なくなく,Ph.D. Dissertation Forumでの発表の効果は確実にあったと感じました.

今後は,今回の会議に参加して得られたコメントや指摘を踏まえ,さらに研究を進めていきたいと思います.
以上,参加報告でした.

自技会 予防安全部門会議

自動車技術会の予防安全部門会議で話題提供をさせていただきました。運転行動のマルチメディアコーパスで、新しい交通安全技術を作ることができるのでは?という問いかけをしたかったのですが、パラパラと自分たちの研究を紹介する内容になってしまったようです。委員会のメンバーの皆さんは自動車メーカの技術者の方々が中心なので、ちょっとフェーズが合わなかったかな?情報技術的なセンスで車の運転を考えるっていうのは、ちょっとまだ実感が湧かないのは当然だと思います。
一方で、今日の議論の中で「自動運転のキーポイントはマップマッチング」という話があり、これぞ情報技術な訳で、自動車とITに跨る技術は、ビジネスモデルができれば爆発的に応用研究が進む予感があります。

第1回過信シンポジウム

板生清先生(東大/東京理科大学)、国分三輝先生(愛知淑徳大学)、中小路久美子先生をお招きして、第1回のシンポジウムを開催しました。大変興味深いご講演をいただき充実した会になりました。以下、シンポジウムの概要を報告します。

(1) 板生先生には、基調講演として「人間情報学の提唱」という演題でご講演いただきました。Nature Interfaceという言葉で自然・人間・人工物に跨る情報の流れを考える視点から、先生の日頃の活動(板生先生は、アカデミア、社会貢献、政策立案にまたがる幅広い活動をされていらっしゃいます)について、ご紹介いただきました。「万物は情報を発信する」という認識は、パターン認識や旧来のインタフェースの研究に欠けていた視点だと思います。

Nature Interface != Natural Interface

(2) 豊田中研出身の国分先生からは、自動車の視点からお話をいただきました。予防安全の世界では、以前から

向上させた Safety Margin を、 Negative Adaptationが食いつぶす

という、まさに過信のジレンマが問題になっているそうです。国分先生は、この問題は、支援技術の問題であるとともに、ドライバのmotivationの問題であり、ビジネスモデルの問題でもあるとお考えでした。ecoが運転を変えるmotivation となるように、運転を常に意識させることで得られる何かの存在が大きいとの指摘は、そのとおりだと思います。たとえば、我々がSCOPEのプロジェクトで進めている、ドライブレコーダを利用した運転の「見える」化による、安全運転支援なども、motivationに働きかける一つの方法ではないかと思いました。

(3)中小路先生の講演では、「何をしたいの?」っていう問いを常に発することが大事なんだと感じました。好むと好まざるとに関わらず、「何か」をするために作った技術によって、社会が変わり、人が変わって、知らないうちにやりたかった「何か」も変わっている。そんな時間軸を持ってインタフェースを考えれば、「モノ」が(使っている時だけでなく)使っていない時にさえ、「ヒト」に影響を与えるという、発想も自然なのかも知れません。私には、指摘されるまで思いもつかなかった発想です。「支援システムの過信」というのは、まさに使っていない時あるいは使えない時の「モノとヒト」との関係という整理もできると気付きました。

明日までにつけばいいなら馬車でもいいじゃん。ダイエットにもなるし。

終了後の意見交換会でも多くの御示唆をいただきました。「我々が問題としている『過信』は、想定する支援の範囲からの逸脱にどう対処するかっていうことなのか?」という質問には、思わず唸ってしまいました。答えはNOのはずなのですが、、、、、宿題にさせて下さい。

ご講演いただいた先生、聴講参加いただいた皆様、シンポジウムの準備をして下さった村瀬先生・出口先生、ありがとうございました。

MSRA Academic Forum

台北で行われた表記会議に参加する機会をいただきました。Microsoft Research Asiaのマネージャクラスの方々の講演から、印象に残ったことだけ、ツイッター風に抜き出しておきます。

3screen + 1 Cloud
Data Intensive Computing
Webページの5%しかINDEXされていないらしい。
サーチエンジン勝負、MSは瞬間伸び率でグーグルを上回ったらしい。
Topic 検索からIntent検索、そしてProblem Solving
Giga pixel Camera for e-Heritage
日本、中国の古典画はmulti perspective
ベイエリアのiPhoneは遅い
Mobile の人たちはEnergyが心配
e-Health supports Data/Knowledge/Insight/Action
SMOKE CHALLENGE
MYLIFE (Show Your Current Activity=見える化)

いかに「夢を語れるか」が、重要のようです。 逆に言えば、そこがgoogle や appleに比べて弱いところだと思われているのでしょうか?
MSRAの研究助成を受けている日本の若手研究者の方々の発表も聴くことができて有意義でしたが、、、、丸一日、講演を聴き、ポスター発表を見て、新たなテーマを議論したあと、中華料理で大騒ぎにはさすがに疲れました。4時起きで乗った飛行機の中ではひたすら爆睡してました。

領域会合

昨日、CREST東倉領域の領域会合がありました。なかなか普段お話を聞けない先生方のお話とディスカッションをお聞きすることができて、大変有意義な機会でした。改めて、このメンバーに交じって研究を進めていくことに、背筋が伸びる思いをしました。東倉領域統括から、チーム全体に対して以下のコメントがありましたので、忘れないうちにメモしておきます。

  • 広く社会に取り組みと成果を説明して欲しい、説明に当たっては「相手に合わせた」丁寧な説明が重要である。
  • 基礎研究、要素研究、応用システムの3側面からプロジェクトを進めて欲しい、具体的に基礎研究では「学会発表」を、要素研究では「領域内他チーム間の共同研究」を、応用システムでは「バックキャスト」の考え方を、それぞれ大事にして欲しいとのことでした。

われわれの報告に対しては、アドバイザの先生方から、過信マップの整理方法を中心にたくさんのご意見をいただきました。これについては、セミナーで改めて紹介して整理したいと思います。それから、柏野さん(NTT)から、振込詐欺誘因通話検出に関して本質的な疑問(「通話者の心的状態の変化を具体的に想定し、それを検出する問題としてアプローチするのが筋ではないか」)をぶつけられてしまいました。それはもう100%同意なので質問には直接答えられませんでした。まあ、振込詐欺については、応用システムとしてやって行くということだと思います。

最後に気になる事業仕分けですが、結論から言うと、われわれに大きな影響はないようです。雑音にとらわれずにいい研究をしましょう。

プリウスリコール【三輪和久】

ついにプリウスがリコールになりました。

プリウスは,油圧系とモータ系というように,2系統のブレーキがあるようです。

・ゆっくり走行で弱くブレーキを踏む時には,「モータ系のブレーキ」が作動する。
・ここでABSが作動すると,ブレーキがすっぽ抜けた感じになる。

重要な点は,ここで強くブレーキを踏み込めば,「油圧系ブレーキ」が作動してブレーキは回復するといったことです。

うまく整理できないのですが,これはまさに【過信】問題!?
つねづねモータ系ブレーキのアシストに依存していると,何らかの外因でそのアシストがはずれると,ブレーキを強く踏み込むという通常ならば極めて自然な行動が抑制されるということでしょうか。

いずれにせよ,こういう現象は,機械設計の側だけからは予測不可能で,運転者の認知特性も含めて考えないと,根本的な問題解決にはいたらないように思います。我々の出番ですね。

第2回Kashin-Freeセミナー感想【河口信夫】

本プロジェクトでは、定期的に分野間融合や視野を広げることを目的にKashin-Freeセミナーを開催しており、昨日 1/27に、第2回のセミナーが開催された。記憶の新しいうちにレポートしておく。

今回は、三輪先生のアレンジで、ゲストディスカッサントに京都大の大本先生と、東京大の植田先生に参加していただいた。

ご発表は、人とコンピュータでは、嘘をついていることを見分ける能力はどのくらい違うかについて被験者実験によって確認した、という内容であり(あくまで河口の理解の範囲です。誤解があればコメントください)、視線や発話のピッチといった情報がコンピュータでの判別に有効である、とのことであった。

特に、人より、コンピュータのほうが発話が「嘘」だと判断する能力が高いという結果は、個人的には意外であるが、無意識に人が嘘をつくときの癖は、(短時間では)人より、機械に認識されやすい、ということを示しているのだろう。

分野としては認知心理学に近いのであろうが、多様なセンシング情報を統合して意図を推定する、という方向性は、我々が進めようとしている人間行動理解のためのデータベースプロジェクトに近いな、との感想を持った。

いずれにせよ、異分野の方々との議論は楽しく、刺激的であった。今後もぜひ、セミナーを通じて多くの知見を得て行きたいと思う。